小さく上質な木の家にするための方法 考え方5選

昨今の価格上昇により、無駄や贅沢を省いた質の高い住宅を求める方が増えてきました。
建物を小さくするのは皆様予算面を考えてのことですが、実際にはそこから「質を落としたくない」「小さく上質に暮らしたい」という本当の要望をお持ちです。
では面積は無理のない範囲で本当に小さくできるのかという話ですが、ソーラーコムでは例えば、35~40坪必要だった方は30~35坪に、30~35坪必要だった方は25~30坪にするための方法をお伝えしてきました。
それは単に小さくして窮屈に暮らすということではなく、小さくても広く暮らせて、40年先も見据えて本当に必要な広さを知るということです。
小さくても快適で上質な住まいにするため方法を「考え方編」と実際の「設計作法編」の2回に分けてお伝えしていきます。
今回は「考え方編」。
「設計作法編」を先に読みたい方はこちらからご覧ください。
(本記事の最下段にもリンクを載せています。)
移動・掃除・手入れの負担と費用を最小限に
老後をイメージすることも大切ですが、若くて元気で一番楽しいときこそ小さな家がもたらす負担の軽減を考えることをおすすめします。
老後よりもむしろ共働きや時短が必要なお若い世代にこそ、小さく合理的で無理のない家づくりが必要です。
毎日の家事、部屋間の移動、掃除、手入れ、生活動線を考えるなかで、面積を大きく取りすぎると、時間とお金という一番大切なものがどんどん出ていってしまいかねません。
これをイメージすると本当に必要な広さだけを残すことはできないでしょうか。

1階と2階で24坪のコンパクトな住まい。大きな吹き抜けも取れる。
不動産代をイメージした収納量の整理
間取り・プランの打合せに入ると収納量を一番に考える方がおられます。
とても大切なことではありますが、今のお住まいの荷物が十分に入る量を考える方がとても多いのです。
今のお住まいの中に、本当は捨てたいもの、捨てられないもの、必要以上のストック品がどれだけあるでしょうか。
その物品を生涯置き続ける不動産代が土地・建物に数畳ずつかかり続けることをイメージしてみてください。
不動産で考えると広さによっては数百万円分になります。
その費用で仕上げ材や住設のグレードを上げることはとても容易で、これが小さく住んで質を上げるということに繋がってきます。
大きすぎる収納は必ず物を持つことに繋がります。一回り小さくするくらいがちょうどよく、日々の出費を抑えることにも一役買ってくれるでしょう。
家族の収納はウォークイン一か所にまとめて各所は小さくするのが時短の定番
面積(広さ)が一番費用がかかる
少し極端な言い方をすれば1坪(=2畳)減らせば探す土地も建物も小さくで済み、人気のエリアでは例えば土地120万円、建物80万円というようにわずか2畳整理するだけで200万円を削減することができるのです。
もちろん建物を減らして、そのまま都合のよい土地面積が出るとは限りませんが、このような考え方を持ってプラン・見積もりしていくと、「なんとなく必要」だと思っていた要望がどんどん整理されていきます。

リビングと繋がりを持った小さな畳の間。3畳がかわいく、リビングをコンパクトにできる秘訣でもある
子どもには規則正しく暮らしてもらう
お子様に立派な「個室を与えたい」「受験期にも困らないように」「兄弟間のプライベートを」など、子ども室を個室化する方も多いのではないでしょうか。
間仕切りをすれば当然構造、材料、手間、空調設備、空気の流れ、などを加味しなければなりません。
例えば受験期に個室に籠って夜中まで勉強することが成績に直結するかを冷静に考えてみるとよいかもしれません。
温度ストレスのない無垢の木の家ですから、小さな頃から早寝早起きができるようになります。朝は早く起きて部活や静かなうちに勉強をする。
勉強は学校、塾、図書館で行い、帰宅後は家族みんなでご飯を食べて会話をして早く寝る。
居心地のよい個室をつくると籠って何をしているのかわからない、スマホを見ているかもしれない、いつまでも独立心が芽生えない、そんなことも出てくるのかもしれません。
(もちろん開放感とプライベートどちらを優先されるかはそれぞれですので、コスト面を考えたときのひとつの方法としてお伝えをしています)
ソーラーコムのお客様も後から間仕切りができるように準備だけしておいて、実際には間仕切りせずに成長された方がほとんどです。
一時期だけは友達の家に個室がありそれに憧れるお子さんもいるようですが、上手にされる親御さんは「よそはよそ、うちはうち」を徹底されておられるようです。

個室化すると、間仕切り、仕上げ、建具を入れ、廊下ができ温度ムラも発生してしまうので、できる限り開放的に子育てすることを望まれる方が多い
目に見えない、構造部分に予算をかけられているか
建物を小さくして出てきた大きな予算は確かに、仕上げや住設のグレードアップ、充実した植栽、様々な理想の要望に充てることができます。
しかし元より家づくりで大切にしなければならないのは、建物性能が長続きするための構造や、地震、シロアリ、湿気に100年以上耐えうる目に見えない部分です。
間違っても、見た目や使い勝手を充実させるために、この構造部分を削ってしまうと、新築当初の性能は目減りし、老後に莫大な資金を投じなければならない住居になってしまいかねません。何よりも空気質や温度差、カビなどによる健康被害が目に見えて起こってしまいます。
面積を整理する前に、皆様が注文する住宅の地盤、基礎、壁の中、構造材はどのようなものであるか、自分たちの考えにあったものなのか、営業マンから言われたままではなく、本当に人と家がずっと健康でいられるのかどうかを、ご自身で判断できる知識を身に付けてから決められるとよいと思います。
手前みそではありますが、ソーラーコムではそのような判断基準となる知識を、専門用語はなるべく使わずにお教えする勉強会をご用意していますので、ぜひ一度お聞きになってください。
次回は、小さく上質な木の家にするための方法、実際の設計作法7選です。

