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【高槻】陽の木の家 小さな無垢の家
15年前から「陽の木の家」のコンセプトは”一緒につくる”十人十色の家づくり。
仕上げにも、目に見えないところにも、構造躯体にも、無垢の自然素材を使うというベースは絶対に崩さず、それをできる限り安価で叶えることを実践してきた。
昨今の情勢により、”一緒につくる”の根幹である、高知県梼原町への伐採祈願祭ツアーへお施主様をご招待することはできないが、とことん計画し、とことん打合せして、丁寧にじっくりと作り上げていくスタイルはずっと変わっていない。
その中で今回の高槻に完成した22坪の小さな木の家は、いいものをできる限り安価で建てる、オプションは必要最小限に抑えた形を実現。
決して欲張らない、カッコ良さよりも便利、健康、長く安心安全快適であることを重視した結果、写真からは感じにくい「陽の木の家」本来の心地よさが生まれた。
とにかく、安価でいいものを建てて住んだ後の暮らしも充実したい。
家族で外食したり、旅行したり、たくさんの思い出をつくって生きていきたい。
それを叶えるために、もちろんいい家は欲しいけど、高額すぎず、でも健康や暮らしやすさに配慮された木の家に住みたい。
なによりその心地よさが長く続く家にして欲しい。
そう望んで家づくりをされる方には特に参考になる「陽の木の家」だ。
「陽の木の家」の標準リスト
-柱.梁.天井:無垢の杉の現し
-床:梼原杉特一等材
-壁:エコクロス.和紙
-外壁:そとん壁
-屋根:ガルバリウム鋼板
-断熱:羊毛ウール
全て健康に長く住める住宅にするための最低限の設え。
これだけ空間に無垢材が見えていると、予算面から既製品建具を使わねばならない空間でも
ホルムアルデヒドは吸着され、無垢材が呼吸し湿気・乾燥の悩みは随分と無くなる。
何より空気がとても健康。
無意識に長居したくなる空間になる。
ここにオプションを付けるとしたら、それは全館空調システム。
壁付けエアコンでは、部屋ごと.廊下の温度差が大きくなり不快な体感を生んでしまう。
故障したら全取替。硬い直風が身体を狙って追いかけてくる。頭痛になり鼻炎になる。
そんな設備に頼った家づくりを絶対にしてはいけないと私どもは日々感じ、
マンションやよくある戸建ての大きな問題点を解決していくことを心掛けている。
どこにいても暖かく・涼しい、そして何より空気が緩やかに常に動いているからいつも新鮮。
室内干しをしても臭わず、自然素材が湿気を吸ったり吐いたり調節してくれる。
入居後の木の鳴り「パキッ」は家じゅうの空気が今まさに綺麗になっている瞬間。
費用は壁付けエアコンを3~4台取り付けるのとそう変わらない。
夏の停電などのリスクヘッジに備え、小型エアコンを入れるか穴あけをしておくか、
或いはOMXという選択もある。(暖房/冷房/給湯/換気/発電 のオールインワンの設備)
美しいデザインや視覚効果を建築的に行うには実際には相応の予算がかかる。
(それをかけずにどこまでできるかが工務店の腕の見せ所ではありますが)
造作家具や建具で余白を作らず無駄なく全てを作れれば小さな空間でも生きてくる。
しかし、「陽の木の家」では常に40年先、子孫の世代を含む人生の資金計画と隣りあわせに
「住まいを取得するまでに一体いくら予算をかけてもいいのか」を綿密に打ち合わせしていく。
その上で、時には住まいの重視するポイントが表題の通りになったとしても何ら不思議ではないし、それがご希望とあらば徹底的に叶えるのが私どものポリシー。(使わない材料を使ってまで削減することはしません)
無垢の梁や屋根が見えるダイナミックなデザインがお好きな方にとってはもってこいのスタイルである。
無垢材が露出しているのは、それだけ空気を新鮮にしてくれるということ。
この家も写真からは中々想像がつきにくいが、実は冬にここで開催した完成見学会に訪れた例外なく全てのお客様が
「こんな快適な空間、今すぐにでも住みたいです、本当に暖かくて心地いいです!!」とおっしゃった。
本当に例外なくだ。
自分の暮らしに合わせて家を建てるのか、理想の家に自分の暮らしを合わせていけるのか、
答えはないが、ここのバランスをどう取るかがとても大切だと常々感じる。
これまでの自分の暮らしばかりに家を合わせていては、収納と贅沢なフリースペースによって家は肥大化し、
建物も探す土地も予算が膨れ上がってしまう原因だと長年の経験で見えてきた。
冷静に考えてみると、例えば子ども部屋が大きくて日当たりもよくて個室だとしたら、きっとベッドに転がってyoutoubeを見て籠るだろうし、成長すればするほどコミュニケーションは減っていくだろう。もちろんエアコン効率は悪いし、空間も狭くなる、間仕切りを起こす分建設費もかかる。
「でも家族と言えどもプライベートは大切ですよね?」
おっしゃる通り。ただし”プライベートは個室でないと実現できない”とは考えないのがプロの仕事。
個室はなくとも、プライベートやそれぞれの居場所がある空間を作ればそれは解決できるし、受験のときくらいテレビの音や灯りは配慮してあげればいい。
余談だが「陽の木の家」第一棟目の15年目の住まい手様は、兄妹でずっと間仕切り無し、心地いい程度の感覚を空け机を並べ、仲良くのびのび、予算もかけずにもう大学生になられている。(13年目の取材当初は名門大学の赤本が並んでいたが陽の木の家で育っていただけたのだと思うととても嬉しい光景であった)
要は各所徹底的に「それ、生涯で本当に必要か?」と一度立ち止まって考えてみることをお勧めしている。
それでも本当に個室が必要なら、そこにかかった予算のことで後悔することはないし、堂々と間仕切りを増やせるはずだ。
ここまで考えていくと将来の荷物部屋候補となる場所はだんだんと減ってくる。
たった1坪減らすだけで数十万、土地代も合わせると100万単位だ。
「何となくこうかな…」「普通はこうだろ…」の考えをなくしていくと、実は家族にとって本当に必要な大きさがというのが見えてくる。
結果小さな家にすればするほど、建物本体も探す土地も安く済み、オプションとして本当に叶えたかったあのキッチンやお風呂を採用でき、エコクロスを珪藻土に替えることもできるかもしれない。
余力があれば、坪単価を上げて暮らしの質を上げることをいつもオススメしている。
先に述べた良質な素材と「家づくり勉強会」でお話している長持ちする性能という点から、「陽の木の家」は健康寿命が延びる家と言える。
これまでの長い歴史で、アレルギーがピタッと止まったお子さんもいる、家の中で底冷えを感じないので肺活量は上がり、早寝早起きができる、一番健康と言われる薄着で暮らすことができる、家族はずっと木の匂いに包まれ保育園の先生が「どんな香水をつけてるんですか?!」と染みついた天然の杉の香りをまた再認識する。
底冷えはなくなり、廊下もトイレもお風呂も寒くない。
量販店から仕入れた家具や雑貨は最小限にしておくとホルムアルデヒドに悩まされることもなくなる。
人は単に長生きしたいわけじゃない。
元気が長く続いて欲しいのだ。
ここまでで述べたことと同じようなことをもう一度。
誰しも理想を叶えるために要望を書き出すとやはり建物は大きくなっていく。
そこからがプロの出番。ソーラーコムのプロは願いをそのまま叶えることはしない。
デザイン・性能・便利・予算の四美一体をお施主様の価値観をもってバランスしていく。
この家も大阪の敷地パターンとして多い形。
間口(横幅)が狭く、奥行きが長いタイプの敷地だ。
2間半の間口に建坪約12坪。トータル22坪の小さな家となった。
移動は楽で、光熱費は安い、寒暖のストレスがなく、無垢の木で五感が喜ぶ。
ここ数年の中でも、安価で住まい心地の質の高い家づくりができた。
「陽の木の家」の住まい手の暮らし(木の経年変化が見られます)
設計・施工 | 株式会社ソーラーコム |
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建物概要 | 構造:木造2階建て 工法:在来軸組工法 |
敷地面積 | 100.01㎡(30.25T) |
建築面積 | 43.35㎡(13.11T) |
1階工事床面積 | 41.41㎡(12.53T) |
2階工事床面積 | 35.19㎡(10.64T) |
延床面積 | 76.60㎡(23.17T) |
外装 | 外壁:そとん壁 屋根:ガルバリウム鋼板 |
内装 | 床:梼原杉(特一等) 壁:真壁現し.エコクロス 天井:真壁現し |
完成 | 2021年2月 |
システム | OMパッシブエアコン |