【枚方市】陽の木の家 9坪の家

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【枚方市】陽の木の家 9坪の家

見どころ

9坪の家

小さな家は光熱費、時短、家事負担、土地代、建物代と良い事づくめです。

その際、単に小さく狭くするのではなく、狭く感じさせない設計上の工夫を可能な予算の中でひとつでも増やしていくことが大切になってきます。

 

狭さを感じさせない生活動線9坪の空間

この家では、4畳半4つの構成で9坪としています。

(実際には1階は玄関と納戸用に+3坪とした建坪12坪の家)

 

 

コンパクトな4畳半のリビングに和室を繋げることで狭く感じさせないようになっています。子どもが小さいうちは川の字で寝て、客間や趣味室にする際には建具を入れればいい、また遠い将来の帰省時にはお孫さんと遊べるスペースにもなる、そんな自由度の高い小さくてかわいい空間がこの4畳半2つのリビングです。

 

画像の説明文
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1階で暮らしが完結しつつ、2階には3部屋取れる

1階は、居間・食卓・和室・水回りで暮らしが完結。

2階には子供室が2つと寝室。吹抜けを無くせばもう1部屋取ることもできます。

物干しはソーラーコム定番の外壁布団干しバー、無垢材とOMソーラーを活用した吹抜け物干しで省スペースを可能にしています。

ロフト空間は全館空調や物置、書斎にすることもできます。

 


実際に子供室を間仕切りをされる方は実は少ない。無垢の家で繋がりのまま育ったお子さんはそのまま独立されるケースがほとんどだ


ベッドなら板間、布団なら畳にしてもいい寝室。サンルームや収納の分量を整理すると4畳半でも十分な広さが感じられる

 

とにかく家事楽な家に

共働き世帯が多い中で、家事、子育て、在宅仕事など、いかに個人の自由時間を増やせるかが心の健康に直結してくる時代です。そのために住まいの動線や機能を見直すことが設計の役割となってきます。

 

家族の物を一箇所にまとめる納戸と和室の押し入れ

各部屋に収納があり、お母さんが各々の洗濯を閉まってくれる時代は過ぎ去ってしまったのかもしれません。収納を一箇所にまとめると、家事移動にかかる負担は減り、各人がそこへ取りに行くということで随分と楽になります。

この家では、納戸と和室で回れる動線にすることで収納回りをシンプルに、また時短を意識して設計されました。

 

もちろん限られた収納を実現するための住まい手様の断捨離努力無くしては実現できることではありません。”手離して手に入れる” を実践されたご家族です。

 


玄関と繋がる納戸。家族動線と来客動線を分けるのにも便利


四畳半の納戸。造作で作り込めば高さもフル活用できる


納戸から和室へ抜けていく視線。この行き来できる動線が重宝される


玄関は風除室も兼ねているので、居間でくつろぐ際には階段下の扉は閉めておく

 

小さな手入れしやすい水回り

水回り空間も四畳半の1区画の中に収めています。キッチンとも距離が近いことでさらに家事が楽に。食卓がトイレに近い場合には設計上で配慮が必要です。ここでは視線をずらし、建具も入れることで解決しています。時には防音処置を施し音の問題もクリアします。


食卓から水回り方向の視線。建具一枚入れるだけでプライバシーは十分守られる


大切な予算は度外視できないが、洗面を造作にするなどすれば小さな家の小さな隙間を有効活用することもできる。結果として意匠性も向上するのでお勧めだ

 

最近では、「娘さんとお父さん」という点で、洗面と脱衣場を分ける要望もしばしば。これもスペースとの相談になってきます。

この家では、小さなトイレ、小さなお風呂、小さな洗面脱衣場で掃除負担をかなり減らしています。「ちょっと足を伸ばして湯船につかりたい」方に「ちょっと曲げるじゃだめですか?」と質問すると、案外「確かにそうですね、スペースや予算でいいことがあるならそれもありかも」となる方がとても多いのです。ソーラーコム標準は1616タイプのお風呂ですが、1618、1624と上げていくととにかく風呂掃除も大変なのです。それでも「我が癒しは風呂にあり」の方もおられますので、常に優先度の確認をしていきます。

 

面倒なベランダ干しから室内干しへ 小さなサンルールすら設けない

空気と湿度がデザインされた「陽の木の家」は吹抜けが大きな物干しスペースとなります。広さにゆとりがあればサンルームでもいいのですが、9坪のような小さな家では吹抜けを有効活用するといいでしょう。無垢材を出す、空気の流れをデザインする、この2つで生乾きの臭いとは無縁の物干しが可能となります。

 

この家ではOMソーラーも搭載しているため、太陽熱の暖房で物干しがよりカラッと仕上がります。

 


無垢の木の現しであれば、吹抜けを活用した物干しにしてもデザイン上あまり気にならない。清潔に乾く方がありがたいと住まい手からの声もよくいただく


4畳半の大きな吹抜けを通じて空気がデザインされている。昔ながらの家のように寒い吹抜けにもならない点が重要

 

温度のバリアフリーが叶うOMソーラー

ソーラーコムでも全館空調が主流となり3年が経ちますが、今でも太陽熱で暖房をするOMソーラーは人気があります。敏感な方には、電気と太陽の暖房の質の違いが分かるようです。

ただ大切なのは、その細かな質よりもまず家の中の温度差を少なくすること。

 

ヒートショックと無縁の暮らし

居間とトイレ・脱衣場の温度差をつくっては絶対にいけません。

 

【Aの家】24℃の居間 と 15℃のトイレ・脱衣場・廊下

 

【Bの家】20℃の居間 と 20℃のトイレ・脱衣場・廊下

 

例えばこのような条件では、一見Aの居間は暖かくて快適なのですが、実はBの家こそ健康寿命を長くする家になります。人が快・不快を判断するとき、常に温度差が関係してきます。子どもの肺活量は上がり、朝の活動量が増え早寝早起きになります。老後の階段の上り下りを心配して平屋に近づけたい気持ちもよくわかりますが、何より空気質こそ心配しなければならないのです。

 

局所暖房のストーブやパネル・温水の床暖房は、温度差を生んでしまいます。

温かさが緩やかでも、どこにいても暖かく、涼しい空間がつくれれば人も家も健康でいられるのです。

 


曇り・雨の日にOMソーラーが動かない日でも、床下エアコン(収納下に仕込む)で補助できるようにしている


杉の床は暖かく柔らかい。太陽の暖気でほんのり温められ、底冷えしない心地よさがある

 

ここまでお読みいただきありがとうございます。

こちらも読み物も設計の参考にしてみてください。

美しい収納はハンガーパイプから、「収納が増えるハンガー」の記事を読む

家事・育児が楽になる動線の考え方、「動線」の記事を読む

 

建物概要

設計・施工 設計・施工 :ソーラーコム
建物概要 構造:木造2階建て
工法:在来軸組工法
敷地面積 118.36㎡(35.80坪)
建築面積 44.52㎡
1階工事床面積 41.46㎡(12.54坪)
2階工事床面積 26.24㎡(7.94坪)
延床面積 67.7㎡(20.48坪)
外装 外壁材:そとん壁スチロゴテ仕上げ
木塀(イペ材)
内装 主要構造材:梼原杉・桧
床材:梼原杉(特一等)
内装:和紙、エコクロス
サッシ:アルミ樹脂複合
浴室:フルユニットバス
完成 2021年10月
システム 太陽熱床暖房システム「OMソーラー」