シロアリを寄せ付けない「基礎構造」

  • 投稿日:2019.1.25
  • 構造/性能

シロアリから家を守るためには、何重にも防御策を取ることが重要です。

シロアリに強い木材を使うことや薬剤を散布することは実は最終手段として捉えています。

では、大元の「基礎構造」でシロアリをストップさせる方法をお話します。

基礎の形状

今でも多くのメーカーが布基礎を使い、土面には防湿コンクリートを施し、「ベタ基礎」との違いが見た目にはわからないようにしてしまっていますが、大前提はこの「ベタ基礎」を選択する必要があります。

シロアリの侵入口となる基礎の「打ち継ぎ」を作らないことが重要です。

特に基礎の外周部をベース部と立ち上り部を2度に分けて工事してしまうと、打ち継ぎができ、大地震などで微細なクラックなどが生じると、そこからシロアリはコンクリートを溶かしながら徐々に侵入してきます。

職人の高い技術を要しますが、できれば基礎は「一発一体打ち」で仕上げるということを覚えておいてください。

 

必ず「べた基礎」

基礎は地盤面からの湿気を吸い上げないために、「ベタ基礎」と呼ばれる形状の基礎を打つようにします。

リノベーション現場でよく見られる、右上図のような「布基礎」または「布基礎+防湿コンクリート」は絶対にいけません。

長期に渡る経年や、地震などによる微細な変化が積み重なり、湿気・シロアリ被害の可能性を残してしまいます。

 

必ず「一発一体打ち」

ほとんどの基礎工事はベース面と立上り面を2回に分けて打たれます。

ところが分けて打つことで図①のように打ち継ぎができ、こちらも同様にシロアリ被害の可能性が残ってしまいます。

打ち継ぎを作る場合でも、打ち継ぎ部を土で覆わないようにする、地面から十分な高さを確保することでリスクを大幅に軽減できるでしょう。

これらには職人の確かな技術がないと難しく、また失敗の原因にもなりやすい高度な基礎工事技術です。

「私の家の基礎はベタ基礎一発一体打ち工法でお願いします」と伝えるのが良いでしょう。

 

配管の通し方

「絶対に地中で抜かない」

図②の配管は、基礎のベースの中を抜いてしまっています。

せっかくのカッコいい建物に配管が見えてはカッコ悪いということで、配管を見せないようにしてしまうのは非常に危険です。

配管を基礎の中、地中で抜く、これはシロアリ対策としては御法度です。

基礎からの配管を地盤面の中で抜いたり、基礎のベース面を打ち抜いてしまうと隙間ができ、シロアリの侵入口を作ってしまいます。

配管は暖かいのでシロアリが大好きな場所なのです。見た目を気にするときは、気にならない場所で配管を取りまわしてあげれば解決できます。

 

基礎断熱の位置

シロアリたちは暖かいところが大好き。

基礎の外断熱をしてしまうと、同じく基礎と断熱の隙間からシロアリが上がってきて、いずれ土台に到達してしまう危険があります。

基礎は内部の立ち上りとベース面に設置するようにしています。

また基礎の立ち上り部分を仕上げ用のモルタルで塗ってしまうこともおすすめできません。

できれば、美しい基礎を打ち、素地そのままに仕上げとして見せてあげる方が安全で自然のままの良さが出るでしょう。

 

その上で次の策を打つ

基礎を確実に、その上でシロアリに強い土台を使う、健康に優しい防蟻材を使うなどをして盤石のシロアリ対策が完成します。

これらの工法で工事をしているかどうかは、素人さんには本当に判断がつきにくく、住宅展示場などでは絶対に聞けないポイントになります。

またこのように専門的なことを細かく聞くのもプロに対して失礼ではないか・・・と気が引けてしまうのも良くあることです。

工務店側が住まい手さんに寄り添っていかないといけませんね。

外周部に打ち継ぎ目の無い一体打ちの基礎

早く乾燥しすぎる夏は水養生をしながら丁寧に

 

月一グランフロント開催「家づくり勉強会」で学ぶ

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