OMソーラーの家のように締め切ったままでも換気・暖房・冷房ができる環境が当たり前になったとしても、窓からの自然通風は欠かせません。
ここで学べる知識はこちら 間取り・設計に関わる重要なことばかりです
①風下と風上の開口面積のバランス
②温度差換気を利用する
③断面の計画
④平面の計画
⑤おまけ あなたの地元に吹く独特な風「卓越風」
1つの部屋に2つの開口部を計画する場合、風上側と風下側の窓の大小により、得られる効果が異なってきます。
風上側の開口部を小さくした場合には、流入速度が増すことになり、風の通る道にいる人は強い冷涼感を得ることができます(図a)
例えばここに、寝室を風上側に計画し、風上側の小さな開口部近くにベッドを配置すると、睡眠中に気流が直接吹き付けてしまい、寝心地も悪く体調を崩すことになりかねません。
風下側の開口部を小さくした場合には、流入速度の低下をまねきますが、通風が影響する室内の領域は大きくなり、全体にやわらかい風を得ることができます(図b)。
温度の低いところから高いところへ向かって流れる空気の性質を利用して、低い位置にある窓(できれば涼しい北側)と天窓や高窓(できれば南側)を設けてあげると、夜には涼風を取り入れ、吹抜けなどに溜まった暖気や熱気は抜くことができます。
②の温度差換気を利用する際の断面計画をいくつかご紹介します。
具体的には、②の地窓から天窓・高窓へと抜く、
軒を深く出したり、庇を設けて涼しい風を入れる、
このとき、土間やデッキには照り返しの少ない素材を使うことをお勧めします(例えば、コンクリートにしないなど)
日射のガラリやルーバーを設け、光を絞りながら風を取り込む、
このように風の通り道を考えてあげることで、最大限効果を引き出すことができます。
建物の配置計画によっては、通風の活かされない部屋が出てくることもあります。
そういった場合は、袖壁や開き窓、間取りや室内ドアを工夫することで、風の通り道をつくることができるのです。
気象庁のホームページや「自立循環型住宅の設計ガイドライン」のサイトでは、アメダスデータ、風配図を知ることができます。
地域の季節・時間帯によって吹く特徴的な風を読むことができます。
これにより、住まい手がどの時間帯にどの部屋の窓を開ければ良いかを理解しながら暮らしていくことができます。
設計上でもこの図を使い建物配置や窓の取り方の参考にしています。
今回は「風」を生かす設計のポイントについてお話しました。